農家が考えるコメの適正価格
消費者が考えるコメの適正価格
スーパーでのコメの販売価格と販売数量
パックご飯の価格
JA概算金情報
輸入米の価格
コメの国際価格
結局コメ政策の転換はないのか?
昨年来のコメ不足と異常な米価高騰の中でコメ問題への関心が国民的に高まっています。この問題の1つの論点がコメの適正価格はいくらかという問題です。ここでは現代農業8月号(農文協)に掲載された「農家がリアルに考えたコメの適正価格」 という記事の概要を紹介します。
この特集記事では、いくつかの農家が各自の農業生産の実際にもとづいて原価計算して求めた再生産可能な「コメの適正価格」を提案しています。ここでは、その結論部分だけを紹介します。実際の栽培方法の特徴や原価計算等は「現代農業8月号(農文協)」をご覧ください。
A. まず、「現代農業」編集部の考える適正価格を紹介します。
①慣行栽培・JA出荷の場合
・農家価格 玄米1俵(60kg) 2万~2万5000円
・消費者価格 白米5kg 3300~4000円
②有機栽培・直接販売の場合
・農家価格 玄米1俵 4万8000~5万4000円
・消費者価格 白米5kg 4500~5000円
B.つぎは、様々な農家の考える再生産可能な適正価格です。
①鴫谷幸彦さん
山間地 稲2.2ha(減農薬栽培1.9ha, 無農薬栽培30a)、個人への直接販売
時給2000円、労力2.5人、年収400万円
・農家価格 玄米1俵 3万2880円
②薄井吉勝さん
平場、イネ14ha(除草剤1回のみの特別栽培米9ha, 有機栽培3ha, 自然栽培2ha)、
個人への直接販売、米屋への直接販売、民間業者
労力3人、年収800万~1000万円。
・農家価格 玄米1俵 2万1600~2万5920円
・消費者価格 白米5kg 4000~4800円。
③北村佳秀さん
中山間地、イネ17ha
労力2人+バイト、年収800万円(社会保険等は別)
・農家価格 玄米1俵 2万2000円
④今井虎太郎さん
平場、イネ4ha(有機無農薬米)
直接販売
・農家価格 玄米1俵 4万8000円
⑤丸尾正志さん
2ha (兼業農家)(有機無農薬米)
直接販売
・農家価格 昨年は玄米1俵2万4000円 今は兼業農家で赤字でもよい。
(定年後は 5ha, 1俵3万円くらいで販売し黒字化したい。)
レシピサービス「クックパッド」が全国の利用者1037人にたいして今年9月3日に行った「お米に関する意識調査2025」の結果です。
約89%の人が新米を買いたいと思っています。買うときには75.5%の人が価格を重視するとしています。1~3人の少人数家庭の場合、白米5kgの購入限度価格が3000円から5000円までの間にあるとする人が75.2%でした。4000円以上なら買いたいとは思わない(限度額を超えると思う)人が54.3%もいる一方、4000円以上でも買うという人が45.7%います。
実際のデータは以下のとおりです。
・新米を買いたいと思うか?
思う 88.9%; 思わない 11.1%
・新米を買うとき重視するポイントは何か? (複数選択可)
価格 73.5%; 銘柄 53.1%; 品種 38.2%; 産地 34.9%; 味や香り 25.8%
・価格がいくらまでなら買うか?(1~3人の少人数家庭、白米5kg)
3000円まででないと買わない 14.7%;
3000円から4000円まででも買う 39.6%;
4000円から5000円まででも買う 35.6%;
5000円以上でも買う 10.1%
スーパーでのコメの販売価格と販売数量 農水省ホームページより
・(1)スーパーでの販売数量・価格の推移(KSP-POSデータ全国等)
・世帯当たりの購入数量の推移(総務省 家計調査)
パックご飯の価格
2024年夏から秋にかけてスーパーからコメが消えた時、おせわになりました。
・サトウのごはん(サトウ食品)
・京北産こしひかり(ドリームズファーム)
JA概算金情報
・NHK新米価格 JA概算金情報
商経アドバイス(コメ生産・流通・加工の専門新聞)
・日本米穀商連合会の「お米HACCP記録簿」2026年版
・令和のコメ情報ダイジェスト
輸入米の価格
・2025年10月 輸入米の人気商品ランキング(価格.com)より
コメの国際価格と輸入米の価格形成のしくみ
・コメの内外価格差 農林水産省
・米の安定供給等実現関係閣僚会議 令和7年8月5日 農林水産省
石破総理のまとめ発言
| 第1回 | 令和7年6月5日 | 議事次第・配布資料 | 議事要旨(PDF/237KB) |
| 第2回 | 令和7年7月1日 | 議事次第・配布資料 | 議事要旨(PDF/246KB) |
| 第3回 | 令和7年8月5日 | 議事次第・配布資料 | 議事要旨(PDF/264KB) |
・小泉農林水産大臣臨時記者会見概要(令和7年10月10日) 農林水産省
*高市政権誕生 10月21日
*鈴木農相就任
・米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(令和7年10月31日) 農林水産省
・高市政権の農政の転換は正しいのか? 「財政の壁」を乗り越え、今こそ農業に積極財政を 文春オンライン
・コメ増産はや転換、期待した農家はどう思う 「何と消極的な国か」 朝日新聞
・高市総裁は「コメ改革なさそうだ」安心した農水省 霧散する石破路線 朝日新聞
・鈴木農相とコメ いきなり増産路線を修正とは 読売新聞
「食料・農業・農村基本計画」閣議決定 令和7年4月11日
新たな食料・農業・農村基本計画のポイント(PDF : 826KB)
○水田政策を令和9年度から根本的に見直し、水田を対象として支援する水田活用の直接支払交付金を作物ごとの生産性向上等への支援へと転換
○コメ輸出の更なる拡大に向け、低コストで生産できる輸出向け産地を新たに育成するとともに、海外における需要拡大を推進
○規模の大小や個人・法人などの経営形態にかかわらず、農業で生計を立てる担い手を育成・確保し、農地・水を確保するとともに、地域計画に基づき、担い手への農地の集積・集約化を推進
○サスティナブルな農業構造の構築のため、親元就農や雇用就農の促進により、49歳以下の担い手を確保
○生産コストの低減を図るため、農地の大区画化、情報通信環境の整備、スマート農業技術の導入・DXの推進や農業支援サービス事業者の育成、品種の育成、共同利用施設等の再編集約・合理化等を推進
○生産資材の安定的な供給を確保するため、国内資源の肥料利用拡大、化学肥料の原料備蓄、主な穀物の国産種子自給、国産飼料への転換を推進
新たな食料・農業・農村基本計画における主な目標・KPI(PDF : 592KB)
関連書籍
・コメの危機の深層 西川邦夫 日経プレミアシリーズ
・令和の米騒動 食糧敗戦はなぜ起きたか? 鈴木宣弘 文春新書
・食の属国日本 命を守る農業再生 鈴木宣弘 三和書籍
・コメ消滅 国民負担3兆円の衝撃 山口亮子 新潮新書
・コメ高騰の深層 JA農協の圧力に屈した減反の大罪 山下一仁 宝島社新書